オフィスや工場などには業務用エアコンが設置されていますが、
業務用エアコンには代替フロンが多量に使用されています。
その代替フロンは地球温暖化に対して、CO2の数千倍の影響を与えると言われています。
地球温暖化抑制の観点から、平成25年6月に「フロン回収・破壊法」が改正され、
業務用エアコンの管理者へ定期的な点検義務が課されました。
▶︎点検義務の内容
点検義務は全ての業務用エアコンが対象とされており、
3ヶ月に1回、管理者による簡易点検を行うことが必要とされています。
点検項目は以下の通りです。
1)室外機の点検
・機器の異常振動や異常運転音の有無
・機器及び機器周辺の油のにじみの有無
・機器の傷や熱交換器の腐食、錆の有無
2)室内機の点検
・熱交換器の霜付きの有無
ちなみに、使用している業務用エアコンの定格出力によっては定期点検が必要です。
例えば、定格出力が7.5kW以上50kW未満は3年に1回以上の定期点検が必要となり、
定格出力が50kW以上になると1年1回以上の定期点検が必要となります。
▶︎管理者が取り組むべき内容
業務用エアコンの管理者はエアコンの点検のみならず、以下のことに取り組む必要があります。
1)適切な場所への設置
全ての機器の損傷などを防止するため、
適切な場所に設置し、その環境の維持保全を図らなければなりません。
2)記録の保管
機器の点検や修理、冷媒の充填や回収履歴などの記録を
業務用エアコンの設置時から撤去時まで保存しておかなければなりません。
3)漏洩への対処
フロン類の漏洩が見つかった際は速やかに修理工事を行い、
修理の完了前にフロン類を充填することはできません。
なお、使用時に「1,000CO2-ton」以上のフロン類を漏洩していた場合は、
所管大臣に報告する義務が課されています。
▶︎保守点検を怠った時の罰則
業務用エアコンの点検義務を怠ると、以下の罰則を科されます。
・特定製品の冷媒フロン類をみだりに放出
1年以下の懲役又は50万円以下の罰金。
・機器の点検、漏洩の対処、記録の保管の「判断基準」に違反
50万円以下の罰金。
・都道府県の立ち入り検査の収去の拒否、妨げ、忌避
20万円以下の罰金。
・国から求められた「管理の適正化の実施状況報告」の未報告、虚偽報告
20万円以下の罰金。
・算定の漏えい量の未報告、虚偽報告
10万円以下の過料。
▶︎まとめ
業務用エアコンは一般家庭のエアコンとは違い、
高所などの点検しにくい場所に設置されていることが多いため、
事前に点検や掃除方法を定めておくことが必要です。
また、企業の社会的責任として、代替フロンの排出抑制を徹底し、
法令に則った点検義務を遂行することが必須と言えます。